現代社会はVUCAの時代と言われています。このような予測不可能な時代に高度デザイン人材の存在が求められています。
なぜこのような時代に⾼度デザイン⼈材が必要なのでしょうか。
この記事ではその理由について深堀りしていきたいと思います。
- 高度デザイン人材について知りたい方
- デザイン経営に興味がある方
- デザインでイノベーションを起こしたい方
これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばなぜ今、高度デザイン人材が求められているのかが分かりますよ。
なぜ⾼度デザイン⼈材が必要なのか
![](https://desinare.design/mgt/wp-content/uploads/2023/02/marten-newhall-uAFjFsMS3YY-unsplash.jpg)
⾼度デザイン⼈材とは、プロダクトデザインやグラフィックデザインをただ行う従来のデザイン人材とは異なり、デザインとビジネス、テクノロジーへの知識をもち、それぞれを組み合わせてイノベーションを生み出す存在のことを指します。
なぜ今高度デザイン人材が注目されているのでしょうか。それは現代が答えが出ない問題、答えの出ない社会状況であり、その対処としてデザインのアプローチが注目されているのです。
DX化の進展でデザインの機会が拡大
インターネットとモバイル機器が普及した今、誰でも場所を選ばずインターネットを気軽に利用することができるようになりました。
これまで一対一のコミュニケーションを行っていましたが、インターネットの進展によりコミュニケーションは一対多数のオープンな関係になりました。
さらにFacebookやTwitterなどのSNSの普及で、デジタルなコミュニケーションはより一般的なものになっています。
企業もデジタル技術を取り入れるDX化の動きが加速しています。
政府による「2025年の崖」というレポートによると2025年以降に大きな経済損失が起きる可能性があり、それを解決するためにDXを推進するべきだと提唱されているのです。
そんなDX化の実現のためにはデザイン思考が必要不可欠と言われています。
機械的な設計だけでなく人々の声を聞くことを重要視しているのがDXであるため、デザインの機会は今後拡大していくと予想されます。
顧客中心のサービス的ビジネスへのシフト
1960年ごろはテレビ・洗濯機・冷蔵庫など人々の生活を支える様々なものの需要があり、製品自体に価値が内包されていました。
しかし現在は、必要なものや機能はすでに世の中に溢れきってしまっている時代。製品自体に価値が内包しているのではなく、製品の価値はそれを利用している顧客が創造するものに変わりました。
マーケティング研究者であるロバート・F・ラッシュとステファン・L・バーゴは、これを「グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)」から「サービス・ドミナント・ロジック(SDL)」への変化であることを提唱しています。
そんなサービス・ドミナント・ロジック(SDL)の時代では、顧客の利用体験を起点としたビジネスが求められます。そこで生まれたのがデザイン思考。いわゆる良いデザイン、センスのあるデザインを生み出すわけではなく、ユーザー視点に立って必要なサービスは何かを考察していく必要があります。
不確実性の増大による試行や探索の必要性の増加
通信技術や移動手段が発達し、国境を超え地球規模で経済がつながるようになりました。このグローバル化は急速に進んでいて、人や金、情報などが世界全体で流動的に扱われるようになっています。
現代はVUCAの時代と言われています。VUCAとは「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」の頭文字を取ったもので、社会やビジネスの未来予測が困難な状況を示します。
VUCAの時代には、予測できない未来に対して自分たちで先回りして未来を計画していくバックキャスティングが重要です。バックキャスティングは、未来を先回りしてそれを実現するビジネスを行えば、予測はできなくても計画ができるという考え方のこと。
さらに、答えのない課題に対してとりあえず試して有効かどうかを確認し続ける姿勢、つまりプロトタイピングも重要です。
このバックキャスティングとプロトタイピングは近代デザインの基本姿勢でもあります。
予測不可能な時代だからこそ、デザインでアプローチ自体を探索していき「問題」「未来」「解決策」を仮説し、その仮説検証のためにユーザーの声を吸収していく必要があります。
まとめ
いかがでしたか。本日は⾼度デザイン⼈材がなぜ今注目を浴びているのかに関して解説をしていきました。
DX化の促進によってデザイン需要が増加している点、顧客中心のサービス的ビジネスへのシフト、VUCAの時代によりアプローチ自体への探索が求められている点。
これらの理由から⾼度デザイン⼈材が必要不可欠になっているということでしたね。
社会状況は大きく変化しています。今までの経営の仕方では他社との差別化や、イノベーションを生み出すことは難しいでしょう。
今こそデザインを経営に取り入れることをおすすめします。