デザイン経営

デザイン経営の歴史を紐解いてみた

デザインという言葉は明治時代、西欧文明とともに日本にやってきました。その後、いかにして経営にデザインが持ち込まれるようになったのでしょうか。

この記事ではそんなデザイン経営の歴史について、時代とともに振り返っていきたいと思います。

  • デザイン経営に興味がある方
  • デザイン経営とは何か知りたい方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばデザイン経営がどういうものなのか、どういった歴史があるのか丸わかりですよ。

デザイン経営とは

そもそもデザイン経営とは何なのか、ここで改めて整理します。デザイン経営とはデザイン思考を事業プロセスの中に組み込む考え方のことを指します。

元々「デザイン思考」はアメリカのIDEOが提唱する製品開発メソットでした。

デザイナーは、顧客のニーズや課題を考えて制作物を生み出します。この考えを経営にも取り入れ、組織の経営課題を解決することこそがデザイン経営の目的であり、ゴールになるのです。

合わせて読みたい>>デザイン経営とは【定義や実践方法を分かり易く解説】

デザイン経営の歴史

1880年〜 産業革命による大量生産・大量消費の時代

18世紀半ばから19世紀に渡るイギリスの産業革命では、工業化が進み技術革新が行われ、製造業のスタイルも大きく変化していくことになりました。

さらに産業革命で消費社会が成長、植民地の拡張によって貿易が急伸していったのです。

大量生産によって生み出されるインダストリアルデザインも広く普及していきました。

1900年〜 ゼネラルモーターズの経営戦略

ゼネラルモーターズはデザインと性能の斬新的なアップデートによってモデルチェンジを行う経営手法を取りました。毎年新型車のモデルチェンジによって既存車種が時代遅れになり、買い替え需要を促進していったのです。

その後家電業界などでも同手法が取り入れられ、企業の国際化が進んでいきました。

1950年〜 企業内デザイン部門の誕生

日本の家電メーカー松下電器、東芝、ソニーなどでデザイン部門が発足。日本の工業生産は飛躍的に発達していきました。

1960年〜 IBMのデザイン経営

IBMのトーマス・ワトソン・ジュニアは1966年にコーポレートのデザイン・プログラムを作り上げ、そこに「Good Design is Good Business」という言葉を記しました。

このように経営戦略にデザインを活用することで世界的に成長していったのです。2012年にはジニー・ロメッティがCEOに。3年間でおよそ1000人のデザイナーを受け入れ、アメリカにIBMデザイン部門の一大拠点を設立していきました。

1970年〜 メイドインジャパンが世界を席巻

1969年に日本がGNP世界2位の経済大国へ成長。1979年にはソニーからウォークマンが発売されます。ウォークマンは累計販売台数が4億台にも及び、まさにメイドインジャパンが世界を席巻していきました。

ソニーは「DESIGN SHIFT」というスローガンを掲げ、既存の概念や思考に対してデザインを活用することで様々なものごとをシフトさせています。

1990年〜 アップルによるデザイン思考

1996年にスティーブ・ジョブズがアップルに復帰、1998年に「iMac」が誕生しました。その後2001年の「iPod」、2007年の「iPhone」など多くの製品を生み出します。

「iPhone」の累計出荷台数は20億を超え、時価総額は2022年後半に2兆ドルにまで達成いたしました。

そんなアップルはデザイン思考を取り入れている企業の1つ。「顧客とのあらゆる接点」をデザインしています。

例えば新商品が発売される時、「キーノート」と呼ばれる発表会を行います。スティーブ・ジョブズはこのキーノートに2ヶ月を費やしたと言われています。会場の装飾から、プレゼンテーションの間の取り方まで入念に準備をしています。

そして顧客が商品を購入する際に向かうアップルストア。無垢の素材をふんだんに使った空間設計であり、まるでテーマパークに来たような気持ちにさせてくれます。このようにアップルは製品を購入すること自体を特別な体験としてデザインしたのです。

2000年〜 政府による「デザイン経営」宣言の提唱

本格的なインターネットの時代に突入。

2018年には経済産業省・特許庁より「デザイン経営」宣言が発表されました。

これにより「デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営」が加速。2020年には内閣府の「成長戦略実行計画」の中に社会人の創造性育成の重要性として「デザイン」という言葉が利用されるようになりました。

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東京理科大学の経営系学部でデザイン経営を取り込んだり、武蔵野美術大学や多摩美術大学などでビジネスを学ぶ学部、スクールなども誕生。デザイン経営がより身近なものになっていきました。

まとめ

いかがでしたか。本日はデザイン経営の歴史について解説していきました。デザイン思考という言葉はIDEOによって提唱された言葉ですが、それよりもはるか昔、産業革命の時代から注目、取り入れられていました。

そして2000年以降は、経産省・特許庁による「デザイン経営」宣言が発表され、経営の中にデザイン思考を組み込むメソットがきちんと提示されるようになったのです。

このデザイン経営は今後の経営になくてはならないものです。ぜひデザイン経営を取り入れてみてはいかがでしょうか。